片頭痛治療薬について

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1.片頭痛治療薬一覧

片頭痛の治療に用いられる代表的な薬は以下の通りです。

※横スクロールで全ての情報が表示されます。
種類 アセトア ミノフェン 非ステロイド系 抗炎症薬(NSAIDs) トリプタン系 片頭痛薬 エルゴタミン製剤
一般名 アセトア ミノフェン SG配合剤 (ピリン系薬との配合剤) アスピリン(バファリン配合錠A330) / イブプロフェン(ブルフェン ) / ロキソプロフェン
(ロキソニン)
ジクロフェナク
(ボルタレン) など多種
スマトリプタン ゾルミトリプタン リザトリプタン安息香酸塩 エレトリプタン 臭化水素酸塩 ナラトリプタン 塩酸塩 クリアミン配合錠
(ピリン系薬との配合錠)
製品名 アンヒバ カロナール コカール イミグラン ゾーミッグ マクサルト レルバックス アマージ
薬の有効性(薬の効き目)   Group2(ある程度有効 に効く) 有効に効く (Group 1) Group 4(有効に効くが、 副作用に注意)
最高血漿中 濃度到達時間 約40分   多くは30分~3時間 注射薬:約12分 / 点鼻薬: 10分後 / 1.5時間後(2峰性) / 錠剤:1.8時間 2.0~3.0時間 1.0~1.3時間 1.0時間 2.7時間 エルゴタミン酒石酸塩 2.0~2.5時間
血中半減期 内服2.4時間   多くは1~2.5時間 注射薬:1.5時間 / 点鼻薬:1.9時間 / 錠剤:2.2時間 2.4~3.0時間 1.6~1.7時間 3.2時間 5.1時間 エルゴタミン酒石酸塩6.5時間
作用時間の目安※ 約6時間 多くは約6~10時間 約4~6時間 約12~24時間 約8~12時間
主な副作用 比較的少ない。高用量で肝障害 胃粘膜障害、出血傾向、腎障害、アスピリン喘息、インフルエンザ脳症増悪 中枢副作用(めまい、眠気、倦怠感)、悪心・嘔吐、胸部圧迫感、息苦しさ、体の痛みなど。 点鼻薬では苦み。 悪心・嘔吐
12.6% 5.5% 4.2% 7.1%、中枢副作用は比較的少ない。 比較的少ない。  
禁忌・その他 重篤な肝障害、アスピリン喘息で禁忌。小児や妊娠・授乳中の第一選択薬。 消化性潰瘍、アスピリン喘息、妊娠末期で禁忌。15歳未満の小児
では使用禁忌の場合もあるので、必ず医師に相談を。イブプロフェンのみ小児で使用可。
虚血性心疾患、末梢血管障害、脳血管障害、コントロールされていない高血圧症などで禁忌。 高齢者、低用量ピルとの併用は慎重投与。 エルゴタミン製剤との併用禁忌。 末梢血管障害、妊娠・授乳中は禁忌。 緑内障は慎重投与。
服用から12時間あければ授乳可 海外では点鼻薬も販売されている 海外では思春期患者への投与も安全とされている     トリプタン製剤販売後は、使用は少ない。
薬価 アセトアミノフェン原末200mg:1.46円 SG配合顆粒 1g:10.2円 バファリン配合錠 A330:5.8円
ブルフェン錠 200:8.1円
ロキソニン錠 60mg:13.4円
ボルタレンSRカプセル37.5mg:14.2円
皮下注キット:2620円
点鼻薬:765.9円
錠剤:646.4円
錠剤:684.6円
RM錠:684.6円
錠剤:684.6円
RM錠:684.6円
錠剤:665.8円 錠剤:825.9円 クリアミン配合錠 A1.0:11.3円
クリアミン配合錠 S0.5:7円
後発品※ あり なし たいてい
あり
あり あり あり あり なし なし

ここでご紹介している薬の他にもたくさんの薬が片頭痛の治療に用いられており、実際にどの薬をどのように用いるかは、処方する医師によっても、頭痛の状態によっても異なりますことをご了承ください。

2.片頭痛治療薬の使い分けについて

繰り返しになりますが、薬の使い方は医師によっても、頭痛の状態によっても様々であり、原則通りにいかないことも多々あります。薬の効果や副作用を慎重に確認しながら、患者さんそれぞれに合った薬や飲み方を探していきます。

(1)片頭痛治療薬の基本的な選択方法

小児や妊娠授乳期の方は、まずは「アセトアミノフェン」を検討します。
それ以外の方に対しては、片頭痛の重症度に応じて、軽度~中等度には「NSAIDs」、中等度~重度には「トリプタン製剤」の使用が推奨されています。
軽度~中等度の頭痛でも「NSAIDs」の効果がみられない方に対しては、MRI検査などを行って二次性頭痛の可能性を除外したうえで、「トリプタン製剤」に変更することが多いです。
また、「頭痛の頻度が多い」「トリプタン製剤は効くがその効果が弱い」という場合には、片頭痛薬と一緒に「予防薬(後述)」の服用を勧める場合があります。

(2)トリプタン製剤(国内販売は5種類)の処方

年齢や性別、過去使用歴があればその効果などを参考にして、5種類のトリプタン製剤の中からまず一つを選択して処方します。しかし、薬の効果や副作用の出方には個人差が大きいため、なかなか最初に処方した薬では効かない、副作用が出てしまって合わないといったこともあります。少量から処方して、薬の効果や副作用を慎重に確認しながら、患者さんそれぞれに合った薬や飲み方を探していきます。

3.嘔気・嘔吐に対して

片頭痛では、頭痛とともにひどい嘔気・嘔吐がみられることがしばしばあります。あまり我慢せずに早い段階で制吐剤(吐き気止め)を服用することをお勧めします。また、頭痛のたびにほぼ毎回嘔気、嘔吐がみられる場合には、制吐剤の予防的投与や、内服薬から点鼻薬への変更も検討します。
主な制吐剤:メトクロプラミド(プリンペラン®)、ドンペリドン(ナウゼリン®)

4.予防薬について

片頭痛の程度や頻度を徐々に軽減させる目的の薬です。「頭痛の頻度が多い(鎮痛薬の使用が月10回以上)」「トリプタン製剤は効くがその効果が弱い」といった患者に対して使用され、発作回数や頭痛の程度の軽減、急性期治療薬の減量、片頭痛による前駆症状の改善などの効果が期待されます。

片頭痛の予防薬として用いられる主な薬剤は以下の通りです。

  1. カルシウム拮抗薬
  2. 抗てんかん薬
  3. β遮断薬
  4. 抗うつ薬
  5. 漢方薬
  6. CGRP関連抗体薬(片頭痛発作の発症抑制薬)
  • ①ロメリジン(ミグシス®)
  • ②ベラパミル(ワソラン®)
  • ① バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®)
  • ② トピラマート(トピナ®)
  • ③ レベチラセタム(イーケプラ®)
  • ④ ガバペンチン(ガバペン®)
  • プロプラノロール(インデラル®)
  • アミトリプチン(トリプタノール®)
  • 呉茱萸湯、釣藤散、五苓散など
  • エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ

CGRP関連抗体薬(片頭痛発作の発症抑制薬)による治療について

(1)~(5)はいずれも即効性はあまりありませんので、原則、毎日服用します。頭痛が起きたときに服用しても、鎮痛効果を得るのは難しいとされています。

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