脳神経外科領域の主な疾患

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    解離性脳動脈瘤・嚢状脳動脈瘤・漏斗状拡張・突出とは

  1. 脳動脈瘤の主な種類として、以下があげられます。
  2. (1) 解離性脳動脈瘤 脳血管が血管ごと紡錘状に拡張しているものを言います。 要治療介入
    (2) 嚢状脳動脈瘤 動脈瘤のうち、根元がくびれているものを言います。 治療介入可能性あり
    (3) 漏斗状拡張 大きな血管から細い血管が分岐していく移行部の拡張であり動脈瘤ではありません。 要経過観察
    (4) 突出 血管の一部が突き出ている状態を指します。動脈瘤ではありません。 要経過観察

    主な症状

  1. 一部の動脈瘤(内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤など)を除き、脳動脈瘤は出血しない限りは無症状です。しかし動脈瘤が形成された直後や増大している最中など、数週間に渡って鈍い頭痛を呈することがあります。
    脳動脈瘤が破裂した場合、くも膜下出血を引き起こし、「突然の激しい頭痛」が生じます。また、このくも膜下出血を発症する数日~1週間ほど前から、動脈瘤破裂の前駆症状として鈍い持続性の頭痛が生じることがあり、警告頭痛(warning/sentinel headache)と呼ばれています。
  2. 治療および経過観察

  3. 解離性動脈瘤は治療介入が必要です。
  4. 漏斗状拡張および突出に関しては1年程度の間隔による定期的な画像検査によって、形状やサイズに変化がないかを確認していきます。
  5. 嚢状脳動脈瘤に対して、どの段階で手術介入すべきか、どのような期間で経過観察をすべきかを示す指針は、日本脳卒中治療ガイドラインの他、国際的にも様々な指針が存在します。
  6. 八重洲クリニックにて行っている脳動脈瘤の治療指針は、以下の通りです。
    1. 手術介入すべきか否か?
    2. ・手術は、原則として余命が10-15年以上と推測され、なおかつ大きさが5-7mm以上のもの
    3. ・しかし、大きさが5mm未満であっても以下のような脳動脈瘤に関しては、ガイドラインに則り手術を勧める場合があります。
    4. A 症状ある場合 症候性の脳動脈瘤
      B 動脈瘤の場所 前方循環のうち前交通動脈、内頚動脈後交通動脈部のもの
      40歳以下または喫煙者の場合には後方循環、前~中大脳動脈も追加
      C 動脈瘤の形状 ①Dome neck aspect比が大きい(動脈瘤は大きく、くびれが強いもの)・②不整形(形がいびつなもの)・③ブレブ(雪だるまの頭のような、小さな瘤が脳動脈瘤に付属しているもの)
      脳動脈瘤に対する定期的検査について
    5. 上記(1)に該当せず治療が不要な脳動脈瘤に対しては、以下の経過観察が必要となりますが、経過観察を進めていく際に、
    6. ・過度の飲酒を控えること、
      ・禁煙を実施すること、
      ・高血圧には治療介入を行うこと が強く推奨されます。
      1. 発見後約6ヶ月以内に画像による脳動脈瘤の大きさ、形の変化の確認 (この時点で、脳動脈瘤に増大あるいは突出部の形成が認められた場合には治療を勧めます)
      2. ①にて動脈瘤の大きさや形状に変化のない場合は、6か月~1年間隔での画像検査による経過観察
  7. より詳細にお知りになりたい方は、以下をご覧ください。
  8. 未破裂脳動脈瘤(PDF)
  9. 動脈瘤壁のストレス解析
    動脈瘤壁のストレス解析
    動脈瘤内の血流状態の解析
    動脈瘤内の血流状態の解析
    動脈瘤の適切なサイズ・形態計測
    動脈瘤の適切なサイズ・形態計測
  10. 文責
    八重洲クリニック 脳神経外科常勤医 中川大地
    医学博士(東京大学)
    日本脳神経外科学会専門医指導医
    日本脳卒中学会専門医指導医