こどもの頭痛 2

こどもの頭痛について、2回に分けて解説していますが、今回は、こどもの頭痛に対する治療ついて、具体例もご紹介しながらお話いたします。

前回:こどもの頭痛1 

こどもの頭痛に対する治療

大人の頭痛と同様に、消炎鎮痛薬や片頭痛薬を頓服薬として用いたり、予防薬を定時で内服してもらうこともあります。

トリプタン製剤を使用する場合、使用量の目安は以下の通りです。
体重40kg以上、12歳以上の小児 → 成人と同量
体重25kg以上、40kg未満の小児 → 成人の1/2量(錠剤は1/2分割可能)
体重25kg未満の小児 → 錠剤を粉砕して使用

 予防薬としては、アミトリプチン(抗うつ薬)、シプロヘプタジン(抗アレルギー薬)が多く使われていますが、効果に対する科学的根拠はまだ乏しいようです。また、大人で使われることの多いバルプロ酸(デパケン、セレニカ)は、催奇形性や体重増加、多嚢胞性卵巣症候群の危険があるため、思春期女子への使用は慎重に行う必要があります。

しかし、日本小児神経学会のHPでも言われているとおり、「まずは規則正しい生活を送ること」が大切であると私も感じます。睡眠時間が十分にとれているか、毎日朝ごはんを食べているか、バランスのよい食事をとっているか、パソコンや携帯電話、ゲーム機に長時間向かっていないか、こういった基本的なところを見直した上で、薬による治療を行ったほうがよいと思います。

○最後に、最近印象的だったこどもの頭痛例をご紹介します。
中学生の女の子で、中学校に入学してからこめかみ付近がズキンズキンと痛むようになったということで、お母様と一緒に当院を受診されました。片頭痛を疑って薬による治療をあれこれ試してみましたが、いっこうに頭痛が改善しません。二次性頭痛も疑って念のため脳MRI検査をしましたが、やはり異常はありませんでした。
何回か通院していただいて、いろいろと話をしていくなかで、ある時ぽつっと「学校が楽しくない」というようなことを話してくれました。診察中にいつもニコッと笑ってくれる女の子で、私の方から「悩み事はないかな?」と率直に尋ねることはなかったのですが、早い段階で小児慢性連日性頭痛を疑って、ストレス要因がないか踏み込んで聞いておくべきでした。
結局、親御さんとも相談して思い切って学校をしばらく休むことにすると、頭痛はすっかり消えました。心療内科にも通っていただいて、今は復学の道を一緒に考えているところです。
思春期のズキズキとした慢性頭痛に片頭痛薬が良く効くケースもたくさんあるのですが、この子のように、頭痛以外の問題も抱えていて、頭痛に対する治療だけを行っていても解決しない場合も多くあります。中学生や高校生の多感な年頃の患者さんに、親御さんもいる前で悩み事を聞き出すのは大変ですが、若い患者さんが心身ともに元気に成長していけるように、当院の診療がお役にたてたらと思います。

(参考文献・資料)
Sakai F,Igarashi H.Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia. 1997 ; 17 : 15-22.
日本頭痛学会ガイドライン http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/gl2013/271-289_7.pdf
日本小児神経学会HP https://www.childneuro.jp/
日本小児心身医学会HP http://www.jisinsin.jp/detail/05-yasujima.htm

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軽症くも膜下出血にご用心

先日、営業職のビジネスマン(40代)が頭痛を主訴に来院しました。6日前の朝、起床した時に首の痛みがあり、寝違えたのかと思ったそうです。仕事中も痛みが続くため、退社後に近くの整形外科を受診したそうです。事情を説明し、後頭部と首の痛みがあるため、ブロック注射を受け、薬(筋肉を和らげる薬と鎮痛薬)を処方されました。それで痛みは改善するのですが、夜中頭痛で目が覚めて眠れない状態だったそうです。それでも会社を休まず、退社後整形外科でのブロック注射を続けたのですが、あまりに改善しないため脳神経外科を受診する様に言われたとのことでした。

診察すると、頭痛があるだけで、手足の麻痺もなく特に異常を認めませんでした。血圧も正常範囲内です。でも、首コリや肩コリから来る緊張性頭痛とは、痛みの程度が異なっていました。そのため頭部MRIを検査したところ、何と「くも膜下出血」が見つかりました。頭部MRAではくも膜下出血の原因である脳動脈瘤も見つかり、また脳の血管は血管攣縮(ケッカンレンシュク)という合併症のため、細くなっている状態でした。

そのため、検査の結果を見ていただき、総合病院での加療が必要であることを説明しました。本人は、私の説明に多少動揺はあるものの、なぜひどい頭痛が続いたのか分かり、また入院、精査,加療が必要であることを理解され、総合病院へすぐに向かってもらいました。

「くも膜下出血」と言えば、バットで殴られたような激しい頭痛があり、片麻痺や意識障害などを伴い救急車で搬送されることが多い病気です。でも、頭痛がするだけでそれ以外に異常を認めない場合もあります。ただの頭痛と思っても、夜も眠れないような頭痛があれば、まず脳神経外科を受診しましょう。

担当:峯田

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「突然、記憶が消えてしまう!!」~一過性全健忘とは?~

先日、ビジネスマンが3人、不安そうな顔つきで診察室に来られました。3人のうちの一人Aさん(50代男性)が、昨日大阪から出張で上京し、夜に3人でビール片手に楽しく食事した後、ホテルにチェックインしました。しかし、本日朝になってもAさんは出社してこないため、携帯に電話したところ、「自分はどうしてここにいるのか?」、「昨日の記憶がない?」としどろもどろに答えたようです。そのため二人はホテルからAさんを連れて当院を受診しました。

Aさんは自分の名前や住所などは答えることができますが、なんかおかしい、すっきりしない、自分はどうしたんだ?と訴えます。付き添いの二人は、昨日楽しくお酒を飲んでいたAさんが、突然どうしたのかと驚いています。

このような時に、頭に浮かぶ病気が「一過性全健忘」です。

一過性全健忘とは、突然、数時間前からの記憶がなくなってしまう病気です。自分の名前や住所などは覚えていますが、どうして自分はここにいるのか、などの状況が分からなくなり、何度も同じ質問をしたりします。これは大変だと周りが心配するのですが、症状は通常、24時間以内に消失しますのでご安心ください。Aさんのように中年の方に多く見られる病気です。脳の記憶に関係する海馬(かいば)の機能が一時的に低下するのが原因と考えられています。他の病気と鑑別する必要があり、必ず病院を受診する必要があります。

Aさんを含めて、3人にこの病気について説明し(Aさんは覚えていないと思いますが)、念のため頭部MRI検査行いました。結果は、海馬領域を含め異常はありませんでした。検査が終わった頃には、Aさんは「スッキリした、スッキリした。」といつもの表情に戻ってきたようでしたが、まだ同じ質問をしたりするため、こちらはまだスッキリしません。そのため付き添いの一人の方に、新幹線で家族の待つ新大阪まで同行してもらい、翌日に念のため近くの病院へ受診するよう、紹介状と画像情報が入ったCDを持参させました。数日後、紹介先の病院から報告書が届きました。Aさんは翌日には元通りの状態になり家族も安心しているとのことでした。

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