パソコン社会と頭痛

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今やパソコン(以下PC)はあまねく職場、家庭に行き渡っているといえます。しかし、いつからこのような状態になったのかと振り返ってみると、せいぜい20年くらい前からでしかないことに気付きます。
わが国のPC出荷台数がピークに達したのは2000年で、価格もそのころがもっとも高かったようです(このこともPCを使って調べたのですが)。また、Windows Xp が発売されたのも2001年です。初めてストレスなく使えるOSだったと記憶しています。2000年ころからオフィスの机には、一人1台のPCがおかれるようになり、多くの会社員、公務員、秘書、医師、弁護士などが長時間にわたって、それと向き合うようになったのです。

人はPCを使う生活に慣れているのでしょうか?両手をキーボードに載せ、わずか30センチほど先のモニターを見つめる。かつてそのような姿勢を長時間続けたことはありませんでした。それが最近20年くらいの間に急速に広まってきたのです。日常生活の劇的変化といえるでしょう。
慣れない姿勢を強いられたためにでている歪みの一つが頭痛(緊張型頭痛)だと思います。
同じ姿勢を続けるということは同じ筋肉を収縮させているということです。頭の位置を維持している間は僧帽筋、後頭下筋群などを収縮させて頭部、頚部を伸展させています。頭の重さは5キロもありますので、長時間の収縮で筋肉は疲労するでしょう。
また、目を動かすことも、外眼筋という筋肉の役割です。片側に6つずつの外眼筋がありますが、やはり特定の位置を見続けることは、特定の外眼筋を収縮させるのです。眼精疲労の一部はVDT(visual display terminal)症候群といわれていますが、画面を長時間見つめすぎていることが原因です。

PCを1日に7、8時間以上も使っている方の多くが、休みの日に運動もしていないとおっしゃられるのには驚かされます。もともと人類は狩猟や農耕をして、100万年も生き延びてきたことを忘れてはいけません。体を動かさないことは不自然な暮らし方なのです。休日には外に出て体を動かしましょう。
また、PC作業の合間にも運動はできます。僧帽筋は皮膚のすぐ下にあり、後頭部から背中に広がる大きな筋肉です。その上部では後頭骨を起始として肩甲骨、鎖骨外側に停止(付着)しています。肩関節を上下、前後など全方向に動かすことで僧帽筋のストレッチができます。後頭下筋群のストレッチは、頭を持っていろいろな方向に倒しましょう。これらの運動を30分に一度くらい、仕事の合間に行ってください。
目の筋肉の凝りもこまめに解消しましょう。遠くを見て、目をぐるぐる動かしてください。またモニターやキーボードの位置を時々変えてみること、机や椅子の高さを変えてみることも有効だと思います。
このような運動、ストレッチを継続すること、仕事中の姿勢や環境に注意を払うことが頭痛の発生をおさえてくれるはずです。

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