妊娠中や産後の片頭痛と頭痛薬


片頭痛はたいてい10~20代で発症し、男性よりも女性に多い傾向があります。そのため、片頭痛を持つ方が妊娠や出産を経験するケースも多く、「今まで飲んでいた薬が使えるのか」といった相談を外来ではよく受けます。そこで、妊娠期間中や産後の頭痛に関して、お薬の話を中心にまとめてみました。

            一般的に、妊娠期間中は約60~80%の女性患者で片頭痛発作の頻度が減少すると言われています。一方で分娩後は、1ヶ月以内に半数以上の患者で片頭痛が再発します。

【妊娠4週未満】

胎児の器官形成は開始されていないため、この期間に片頭痛薬を数回使用したとしても心配いりません。

【妊娠4週から15週末まで】

器官形成期の絶対過敏期(妊娠4週から7週末)と、一部で分化が続いていて奇形を起こす危険のある相対・比較過敏期(妊娠8週から15週末)までは薬剤の使用は控えてください。

【妊娠16週から分娩まで】

奇形の心配はなくなりますが、胎児の発育や機能的発達に影響する危険があります。特に、バルプロ酸(デパケン、セレニカ)、NSAIDs(ロキソニン、ブルフェンなど)、エルゴタミン(ジヒデルゴット、クリアミン)は危険性が以前より唱えられています。

トリプタン製剤においては、妊娠期間中の使用の安全性は確立されていませんが、スマトリプタン(イミグラン)が妊娠中の使用に関して最も報告が多く、胎児奇形発生の危険性を増加させなかったと報告されています。

片頭痛に対して処方されることもある漢方薬の呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、子宮興奮の作用があるため、妊娠中は慎重投与とされています。

日本頭痛学会が推奨している妊娠期間中の片頭痛治療薬は以下の通りです。

・急性期頓服薬:アセトアミノフェン(カロナール、タイレノール)

・予防薬:投与しないことが望ましい。必要であればβ遮断薬(プロプラノロール)

 

【授乳期】

スマトトリプタンを使用した場合は使用後12時間あけて、その他のトリプタン製剤を使用した場合は、使用後24時間あけて授乳してください。

当院では、原則的にガイドラインに則った薬剤の処方を行いますが、片頭痛にお困りで、治療のご相談をされたい方は、どうぞご来院ください。

八重洲クリニック 脳神経外科

 

参考:日本頭痛学会編集「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」
漢方医薬学雑誌2010, Vol.18 No.4

八重洲クリニック 脳神経外科「片頭痛薬のご紹介」