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先日、ビジネスマンが3人、不安そうな顔つきで診察室に来られました。3人のうちの一人Aさん(50代男性)が、昨日大阪から出張で上京し、夜に3人でビール片手に楽しく食事した後、ホテルにチェックインしました。しかし、本日朝になってもAさんは出社してこないため、携帯に電話したところ、「自分はどうしてここにいるのか?」、「昨日の記憶がない?」としどろもどろに答えたようです。そのため二人はホテルからAさんを連れて当院を受診しました。
Aさんは自分の名前や住所などは答えることができますが、なんかおかしい、すっきりしない、自分はどうしたんだ?と訴えます。付き添いの二人は、昨日楽しくお酒を飲んでいたAさんが、突然どうしたのかと驚いています。
このような時に、頭に浮かぶ病気が「一過性全健忘」です。
一過性全健忘とは、突然、数時間前からの記憶がなくなってしまう病気です。自分の名前や住所などは覚えていますが、どうして自分はここにいるのか、などの状況が分からなくなり、何度も同じ質問をしたりします。これは大変だと周りが心配するのですが、症状は通常、24時間以内に消失しますのでご安心ください。Aさんのように中年の方に多く見られる病気です。脳の記憶に関係する海馬(かいば)の機能が一時的に低下するのが原因と考えられています。他の病気と鑑別する必要があり、必ず病院を受診する必要があります。
Aさんを含めて、3人にこの病気について説明し(Aさんは覚えていないと思いますが)、念のため頭部MRI検査行いました。結果は、海馬領域を含め異常はありませんでした。検査が終わった頃には、Aさんは「スッキリした、スッキリした。」といつもの表情に戻ってきたようでしたが、まだ同じ質問をしたりするため、こちらはまだスッキリしません。そのため付き添いの一人の方に、新幹線で家族の待つ新大阪まで同行してもらい、翌日に念のため近くの病院へ受診するよう、紹介状と画像情報が入ったCDを持参させました。数日後、紹介先の病院から報告書が届きました。Aさんは翌日には元通りの状態になり家族も安心しているとのことでした。
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顔面が一瞬ピクピクとけいれんするようなことは、多くの方が経験したことがあると思います。パソコン作業や事務仕事で目が疲れている時や、ストレスを感じるときなどに起こります。多くはストレスを発散することにより改善しますが、長く持続する人は、自分は病気ではないかと不安になります。病院を受診する前に、まずは自分のピクツキがどんな病気かを理解することが大切です。
今回は、顔面のぴくつきについて、病院を受診するタイミングについて説明します。顔面がピクツク病気は主に3つが考えられ、①片方のマブタがぴくつく:眼瞼(がんけん)ミオキミア ②片方のマブタとホホが同時にぴくつく:顔面けいれん、③両方のマブタがぴくつく:眼瞼けいれんがあります。
① 眼瞼ミオキミアとは
眼瞼(がんけん)ミオキミアとは、眼の周りの筋肉(眼輪筋)の一部がピクピクと痙攣する状態で、普通は下マブタに起こります。健康な人でもパソコン作業などで目が疲れている時や睡眠不足の時などに、一時的にこういった症状が出現することがあります。そのような時は、睡眠を十分にとり、眼を休めることが重要です。多くは1週間程度で改善しますが、持続する場合や口元にもピクツキが出現した場合は、眼科や脳神経外科を受診して下さい。
② 顔面けいれんとは
顔面けいれんとは片側の眼の回りやほほ、口元がピクピクと痙攣(けいれん)する病気です。ほとんどが片側に出現するため片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)ともいわれます。症状が進行すると、片側のマブタとホホが同時に痙攣し顔が引きつってしまい、話し相手もビックリします。生活や仕事に支障が出る前に脳神経外科を受診しましょう。この病気の詳しい説明は、当院HP上の脳神経外科領域の主な疾患(顔面痙攣)を参照してください。
八重洲クリニック 脳神経外科「顔面けいれんとは」
③ 眼瞼けいれんとは
眼瞼けいれんとは眼の周りの筋肉が過剰に収縮し目が開きにくくなる病気です。多くは両側性で、まぶしく感じたり、目が乾く感じや眼の周辺の不快感などを伴います。そのためドライアイや眼精疲労と自分で勘違いしてしまうことがあります。目が全く開けられないほどの重症な人は少ないのですが、軽い症状でも持続するようであれば、まずは眼科を受診しましょう。